実に自民党らしくなってきて嬉しい限りである。
管新代表は枝野行政刷新担当大臣を新幹事長に据えようとしている。これがあまりにも反小沢的なので、むしろ管グループ内から異論(「殿御乱心召さるなという」)が出ている。
昔(三角大福中時代から)自民党には総裁は自派閥から幹事長を出さないという不文律があった(三木総裁誕生時の「椎名裁定」の際の申し合わせにより)。この不文律は実に小泉総裁時の安倍幹事長まで唯一の例外を除いて破られることはなかった。その例外が大平内閣発足時に大平総裁が自派閥の鈴木善幸氏を幹事長に据えようとした際の騒動であり、のちの四十日間抗争(ハマコー氏が自民党本部の椅子を片づけたことで有名な)の遠因の一つとなった。当然反主流派(福田・三木)は猛然と反発したのだが、これは大平氏が自派閥から出さないという不文律を犯したことに噛み付いたのではなく、鈴木善幸氏があまりにも田中派寄り(もっと言えば自民党最大実力者たる田中角栄氏寄り)過ぎたのが反主流派を刺激したためであった。調整がつかず首班指名自体が遅れる事態になったが、結果幹事長には大平派の穏健な長老斎藤邦吉氏が就任することで落ち着いた。落とし所からして「田中角栄氏的な」幹事長に反主流派は激しく抵抗していたことが良く分かるのである。
今回は「反小沢一郎氏的な」幹事長に反主流派が激しく抵抗することが自明なので、主流派(代表派閥)がびびっている訳であるが、まさに「既視感」を禁じえない。管代表が果たしてこのまま押し切れるかどうか刮目して待っているのであるが、当の小沢グループは9月の代表選に原口総務相を擁立することとし、今回は「臥薪嘗胆」モードに入っているようである。どうも民主党は「反米・反霞が関」はそっちのけで「マスコミ」フレンドリーな派閥抗争を行うことで国民の注目を集め参議院選につなげようという腹のようである。これもまた小沢シナリオなのではないか?と疑ってしまいたくなる。
参議院選において中途半端に票が伸ばせなければ、小沢派・反小沢派による「四十日抗争NEO」が9月の代表選まで続くと予想するのである。何も進まないね。