蒲柳の質である。一週間前に風邪をひいたのであるが、未だ後遺症を引きずっている。
長期化の要因の一つに飲酒があることを否定しないのであるが、3日目に神妙に「アルコールフリー」のビールを飲んだら更に症状が悪化した(と思っているのは本人だけで、恐らくその夜が上気道炎としての症状のピークであったのであろう)ので止めるわけにはいかないという強引な結論に達し今日に至るのである。その後の咳喘息発作の出現が想定外であり(日頃より吸入ステロイドを欠かさない身にとって)短期間であるがステロイド内服を余儀なくされるとは残念であった(楽になったけどね)。
ところで今日の午後紹介頂いた患者さんのことで実家に電話すると、聞いたことのない声の男性が出た。てっきり間違い電話(「(職場の電話)交換もいい加減だなー」と一瞬交換に不信を抱いたことを切に謝したいのである)と考え、
「あのーT内科ですか」
「風邪じゃ」
あっ父上でしたか。酷いお声である。お訊きしたところ金曜日からお風邪だそうである。長男の後を追うように風邪をひかれるとはまさに息子に対し慈愛溢れんばかりの父上である。患者さんのことをお願いをして、夕刻薬を頂きに行く約束をした。
仕事を早々にかたずけ、開院時間内に実家へ伺う。お加減を伺うが逆に自ら(筆者)はどのような経過かと尋ねられ、あれこれ指示を頂く。(「父上私も一応呼吸器専門医なのですが」という)言葉を呑みこんでお説を伺い、お薬を頂き早々にお暇する(患者さんが来られたので)。
しかし父上も風邪とは、シンクロニティ。恐らく私は父上の蒲柳の質と呑ん兵衛のDNAのみを受け継いだのであろう。
父上お大事に、長生きしてください。